第56回 島国

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参院選では、自民党が27年ぶりの単独過半数を確保し、
いわゆる「改憲勢力」が議席数の2/3を超えました。
そもそもこの「改憲勢力」という言葉自体、
野党に憲法改正を必要だと思う人がいることを考えれば意味不明なのですが、
GDP減少を止められず、消費税増税も先送りにし、
各国メディアから「公約」廃棄を指摘される安倍政権が、
大きな意味での消去法で支持されていることは、
ある意味この国の特徴なのだなと納得するのです。

そもそも投票率が54.7%という現状は、
「政治に対する国民の関心の無さ」というより、
「一個人の力では、政治は変えられない」という
国民の一種の諦めが表れているのではないかと僕は思うのですが、
一方で、アベノミクスが経済成長も財政再建も実現できていなくても、
国民には一定の「満足」と政治に対する「信頼」を与えているとも
評価することができます。
主義主張を掲げて自らの行動力で未来をきりひらくより、
我慢を重ねて創意工夫で耐え忍ぶことを得意とする国民性ゆえの
現象なのかもしれません。
選挙よりポケモンへGOなのでしょう。

実際に僕自身も春先の税務調査に対して泣き寝入りする結果を選択しました。
経験された方ならお分かりだと思いますが、
数日間の調査と問答のあと税務職員とネゴをするのですが、
およその納税額を言い渡されサインをします。
今回のケースでは、最終的にネゴしたときの倍額を提示されました。
「争っても裁判所は税務署に不利なジャッジはしないよ。」という一言とともに。
冤罪事件で虚偽自白する無実の人の気持ちがよくわかったことが唯一の収穫で、
余計なことは言わず、失望とともに多分に漏れず長いものに巻かれたのでした。

だからというわけではないのですが、タックスヘイブンのマルタ共和国へ。
乾いた空気と突き抜ける晴天、目を奪われる青さの海、
ローカル、ビジター問わず、ここにいる方々の笑顔に
「豊かさ」とは何かをあらためて考えさせられます。

1964年に独立するまではイギリスの支配下にあった美しい島を
レンタカーして、日本と同じ左側通行を窓全開でドライブします。
主要3島のうち一番大きな面積のマルタ島でも半日で一周できる小国に、
イギリスは「英語」という言語を大きな遺産としてもたらしました。
大多数の人が流暢に英語を話し、法律や労働スタイルまでもが、
「アングロサクソン的」であるために、
多くのファンドがこの島国を強みとしてとらえているそうです。

そのイギリスのブレグジット国民投票における投票率は72.2%。
個々人のプライドと一人でも大勢に影響を与えられると信じられるDNAが、
このような結果を生み出すのでしょうか。
いずれにしても欧州諸国のアイデンティティに対する意識の高さは、
いつも感心させられます。
大切なのは自分という存在、個の力なのだな、と強く感じさせられるのです。

「個」か「組織」か、意味のない議論かもしれませんが、
僕の中の大きなテーマとなっていて、そろそろ結論がでそうです。
自分自身が見聞きし、感じたことだけをもとにして。

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